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雑記多め。

映画「プロメア」ネタバレ感想&キモオタの語り

※注意
 この記事は映画「プロメア」のネタバレを含みます。

 本作を楽しめなくなる可能性がありますのでまだ見てない人はブラウザバック。

 きちんとした考察などではなく、飽くまでもオタクの妄想と感情の垂れ流しです。

 

 

 

 

 簡単な自己紹介

 かつてキモオタだった人間がオタクを辞めてキモだけになった人間。

 「天元突破グレンラガン」、「キルラキル」、「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」未履修。

 ロボットアニメ作品知識はスパロボを少し借りてやった程度。

 

 

 

 ざっくりとした感想

  リアルとはかけ離れた独特のエフェクト、ギャグやシリアスがパート分けなく存在するテンポの良いカット、段々と判明するスケールのでかいストーリー、ド派手で熱いロボットアクション、ガロとリオがぶつかり会って友情のようなものが感じられる画。

 

 そんな王道でありながらも一般市民の人種差別シーン、全体を通して描かれる少数民族への迫害、悪に染まりまくったクレイフォーサイト氏の1万人を助けるという選民思想、いきなりボスの親玉が出てくるなどの贅沢な展開、パステルのような淡い色使い、ところどころ見えるパロディなど、少し攻めたように感じる展開も違和感無く楽しめました。*1

 

 

 

 僕が感じたプロメアのテーマ

 この作品では異なる存在やエフェクトが度々描かれ、比較されるシーンがあります。(コントラストというよりただ違うタイプが在る感じ)

 具体的にはデウスプロメス博士開発の曲線的なデウスエックスマキナと角ばったデザインのクレイザーX 。

 燃えなければ生きていけないというリオくんと火消し魂を燃やすガロくん。

 三角の炎と四角の氷。

 ガロくんの瀕死のバーニッシュへの救命行為を拒んだリオ君がガロくんによって蘇るシーン。

 発電機システムでZ軸に回され燃えるバーニッシュとY軸に回転しながら燃える太陽系。

 理解されぬバーニッシュ達が抵抗のために燃やす紫の炎とプロメアの意思を理解したバーニッシュ達の誰かを守るための緑の炎。

 ひっそりと生きながらもプロメアの意思に取り込まれなかった(共存ができていた?)ピザ屋の店員と栄光を得ながらも悪事に手を染めるクレイフォーサイト*2

 

  こういった描写から、僕は途中までは「正義と悪が戦う王道アニメに『マイノリティとマジョリティの調和』を問題提議として含蓄を持つ作品」というテーマを感じながら鑑賞していました。

 しかし終盤の怒涛の展開によってリオくんの「マッドバーニッシュはむやみに人を殺さない」とガロくんの「燃えていいのは火消し魂だけだ」、プロメアの「もっと燃えたい」がうまく合致して事態は終結しました。

 

 予告以上のスケールを見せられた僕にとっては言うまでもなく超絶に熱くて感動したシーンでした。それと同時にこの作品のテーマはガロくんがリオ君を理解できなくても歩み寄るようなまっすぐな思いと生き方。「完全燃焼」に帰結するするんだなぁと感じられました。

 

 

 

 エフェクトが美しい

 やばい。

 

 昨今の3Dモデル技術やエフェクトはリアル志向だと感じていましたが(最近の作品をちゃんとみていない)、いかにローポリにしつつテクスチャでリアルに近づけるか、という時代は終わり贅沢なポリゴン数でリアルからかけ離れた美に特化したモデルを作る時代が来ているのかもしれないなぁと思いました。*3

 

 個人的に推したいのはレンズフレア(ゴースト)のエフェクト。

 あのエモいラブコメ感マシマシの作画がやばいシーンや、冒頭の街並み映すシーンで出てくるのですが基本的に四角いレンズフレアはありません。*4

 というかあれはレンズに映るものなのでヒトの目にはあまり映らないのですが、躍動感のあるアングルと四角いレンズフレアが相極まって、本当に「練られた作品」だと感じられました。

 

 あとこれは僕の口からは上手く説明できませんが。掴まれたり、包んだり、形を作り、質量を持つように街を破壊する「炎のようなもの」のエフェクトは度肝を抜かれました。

 きっと探せば似たような手法は過去にもあるのでしょうが、世界観に溶け込む繊細な輪郭や激熱なロボットアクションもあり、とても斬新なものとして僕の目(というよりは第六感)には映りました。

 

 

 

 所々で見られるパロディ

 ロボットアニメではしばしば「お約束」のようなものが登場し、僕のような俗物はニヤリとしてしまうことが多々あります。

 しかし本作はそういったお約束だけでなく、明らかなパロディ、はたまた他のコンテンツを想起させるような「魅力」がありました。*5

 

 感じただけでも

  • ロボットのデザインやネーミング(マトイテッカ―は「纏」と「鉄火」なんだろうけどポージングや動きがロマン感じますね)(パイルダーオン)
  • ガオガイガーを感じた(ヘル・アンド・ヘブンを思い起こす手を合わせるポージング、緑色の光、ガロくんが炎に向かって歩む「勇気」感じるシーン*6*7
  • 明らかに光子力研究所(笑いそうになってしまった。)
  • デウスエックスマキナがベイマックスヒーローマンと悩んだけど)
  • 「死んだか?」の天丼
  • 飛び蹴りの作画(巨大なロボットのキックは激熱)
  • リオ君が怒りで覚醒したときのタッチ*8
  • ドリル(考えるな感じろ)

 僕が気づけたのはそれぐらいだけどもっと絶対ある。よい。

 

 

 

  アングルとかパースがやばい

 僕は映像や絵に関してトウシローなのであまり断言できませんが、プロメアは美しい街並みや風景の中でデフォルメされたり立体感(情報量)を抑えた非リアルなキャラや道具やガレキが躍動します。

 ちょろっと前述しましたが、本作の輪郭や色調はリアルから離れたもの(情報量がすくない)です。そういった存在が躍動すると「浮いてる感じ」が発生しがちです。

 が、プロメアはそんな中でもド派手にビルに突っ込んだり、切り合うアクションをしたり、氷と炎が飛び交ったり、リオ君が街を燃やしたり、ロボットが熱く格闘をします。にもかかわらず浮いた感じがしない。神か?*9

 

 あと魚眼(比率のせいかただ画角が広いだけのようにも見える)で戦うのは迫力があります。

 ポスターにもなっていたリオくんとガロくんが睨み合う画も素晴らしいですね美しい。

 

 

 

 終盤のガロくんがリオくんにするレスキューについて

 尊いが過ぎる!!!!!!!

 

 色々語りたいですが僕の主張をいくつか。

  1. BLと言うな
  2. 始めて火をつけたガロくんかわいい
  3. あれはリオくんの新たな人生のスタートを感じさせるシーンである

 

 

  1.BLと言うな

 気持ちはわかる。僕もあのアップの唇のシーンはドキドキするものがあった。

 だがそんなときはひっそりと心の中で呟く程度にしてほしい。とくにインターネットに載せるとこれから見る人間や見た人間へ与えなくてもよい影響を与えかねない。

 

 それとガロくんとリオくんの二人の間の溝は救命行為を機に大きく埋められたことは言うまでもないが、それでも芽生えるのは「LIKE」であり「LOVE」ではないと解釈する。

 ガロくんはアイナちゃんとラブコメしてるので素晴らしい感じありますがリオくんも充実してほしい。

 

 

 2.始めて火をつけたガロくんかわいい

 全体を通してコミカルな動きのシーンは面白く、愛らしく感じられますが特にあのシーンは特別かわいいですね。

 最後まで自他共に認める馬鹿なガロくんが成長(というよりは変化)したことのメタファーですね。

 

 

 3.あれはリオくんの新たな人生のスタートを感じさせるシーンである

 本性を現したクレイフォーサイトによってやられてしまい攫われるリオくん。発電機の一部にされるもガロくんのドリル特攻で救出しクレイフォーサイトは撃破。しかしリオくんは灰になりつつあり、体が末端から崩れていく。

 そうした流れで描かれる救命シーンとリオくんの蘇生シーンなのですが、ただ肉体が光ったり燃えたりするのではなく、ワイヤーフレームが組みあがりポリゴンを描画していくよう復活します。

 

 僕にとってポリゴンの描画とは「not 2D」「新時代の到来」という新しい何かの始まりを予想させるものなのですが、そういった感覚からか「蘇った」というより「新しくなった」という印象を感じました。

 実際リオくんは生き返り、他のバーニッシュ達達と共に燃えたことにより、プロメアの意思を完全に理解。その後プロメアのエネルギーを発せなくなった結果。「バーニッシュ」として生きるのが終わり、新たな人生が始まるのです。*10 

 

 

 


 以上、オタクの語りでした。

 もしご意見等ありましたら遠慮なくお伝えください。

 

 

*1:ただしリオとガロ、そして最後にはプロメアの三種が協力し合いリオが人間に戻れる演出を見た際。「社会構造批判」「マイノリティの尊重」を本作のテーマだととらえていた場合厳しいものとして映るかもしれません

*2:プロメアに乗っ取られないようにするのがどれほど難しいか、と語っているが実際火を放たず普通に生きるバニッシャーのシーンは多い、描いていないだけかもしれないが

*3:それらのモデリング技術にアニメーション技術が加わり、アニメ映画が作られるのだからすごい。

*4:レンズや絞りの形状で変わるので現実でも撮ろうと思えば撮れそう

*5:でもそこが浮いたり露骨でなく、むしろ気づけない場所が多いぐらいに。プロメアそのもののストーリーとキャラクターが魅力的です

*6:グレンラガンのほうが近いかもしれない

*7:松山ケンイチさんが「同じにおいを感じました」と言っているのを鑑賞後に知りうれしくなった。

『プロメア』松山ケンイチ 単独インタビュー - シネマトゥデイ

*8:遊戯王とかドラゴンボールくらいしか思い出せないけどあの表情に名称付いてるんですかね?

*9:地上波アニメだと中割りがベストじゃなかったり動きの緩急がチグハグだったり。

*10:その後火災の後始末を手伝わされるような発言がありますが。これからは燃やして生きていくことは無いのだなぁと感じられます。